モザイク壁画 修復プロジェクト(東面:後半戦)スタート!!
長崎市にある日本二十六聖人記念館の東西壁面にあるモザイク壁画を修復し未来に繋げようというプロジェクトが2022年5月より始まっています
このモザイク壁画は、この施設を設計した建築家 故・今井兼次が指揮して1964年に完成されたモノです
昨年の西側壁画に引き続き、2023年は(東側)「 望徳の壁 」の修復になります
こちらはYouTube動画です▼▼
西側の方は崖の上にそびえる壁であり、遠くからも見えるように大きめのピースで組んであるのに対し、東側壁は通りに面してるため全体が近くでもよく見えますし、表現タッチが細かいのが特徴です
長い歳月の間に、所々に劣化や損傷が見られます
また、東壁ではお皿やガラスが多く使われてますが、特にお皿の欠損が多いのです
大小数えたら50枚位で落ちて紛失していて、それを新しく作り直さなければなりません
そんな中、1つの考えが浮かびました
「そのお皿の色付けや絵付けを長崎の子供達にやってもらおう」と、
子供って未来の象徴です
また地元の子供達にやってもらう事により、この壁画がよりこの地に根づいてくれる事になるでしょう
私達の仕事は、壁画を補強して修復して、そして未来に引き継ぐ事です
作者である今井兼次さんは、不用になった陶磁器やお皿を使いモザイクとしての芸術へと再生する壁画をつくり、その仕事をフェニックス・モザイクと名付けました
この壁画の制作当時も、ここ長崎市民から様々なお皿や陶器を提供してもらったと文献で読みました
きっと今井さんも、今回のこの取り組みにはきっと賛成してくれると思っています
SDGsと騒がれてはいますが私達の現代社会は少し過剰な程、物質に溢れていて飽和状態であると思います
たとえ思い入れがある物であっても、現代の早い時間の流れの中でそれらは日々、希薄になっていってしまいます
「モノに思いを込めて、そしてそれを大切にする」
当たり前の事ですが、現代人には少し難しいのかもしれません
ここ26聖人記念館にはキリストへの信愛だけを持って殉教していった26名の記録が残っています
敬虔な信者であった今井さんは、その26人が京都から歩いて連行された道筋を辿りその各地の窯元を訪れ、そこにある不用な陶磁器を使いフェニックス(死んでも蘇ることで永遠の時を生きるといわれる伝説上の鳥)モザイクとして再生させて26聖人への礼賛としました
これから私達は、そんな壁と対峙させて頂く事の喜びと共に厳かな緊張感を持って取り組みたいと思います